私が以前働いていた消費者金融会社では、信用情報に異動や事故がたくさんある人を『ブラック』と呼んでいました。
※逆に信用情報機関に信用情報登録が全くない人を『スーパーホワイト』と呼び、ブラックと同様に厳しい審査をしていました。

このように言うと、まるで信用情報機関にブラックリストが存在するかのように聞こえますね。

”ブラックリスト”

直訳すると「黒い名簿」

イングランド王チャールズ2世が、清教徒革命で父王チャールズ1世に死刑を宣告した58人の裁判官のリストを亡命中に作成したことが「ブラックリスト(黒い名簿)」の起源のようです。

一般的には「悪いことをした人の名簿」というイメージがありますね。

自分には関係ないと思いましたか?

あなたに一番身近なブラックリストと言えば、「信用情報」に関わるものかもしれません。

携帯端末の支払いや奨学金の支払い、クレジットカードで水道光熱費を支払っている場合も延滞すれば信用情報機関に登録される可能性があります。

もし心当たりがあるなら、「いつ・どんな」情報が信用情報機関に登録されたのかを確認したほうがよいでしょう。

この記事では、信用情報開示をして分かることに加え、信用情報の見方や異動情報・事故情報があった場合どのように信用回復させればよいのかについてまとめました。

ブラックリストというものは存在しない!その名は信用情報共有ネットワーク”クリン”

金融業界では、信用情報機関を通じて業者同士で金融事故情報(異動情報・ローンの返済における情報)を共有することによって、ローン申込者の事故情報の有無を確認しています。

信用情報機関とは、個人信用情報の収集及び提供を行う機関のことで、日本では経済産業大臣が指定する「個人に関する指定信用情報機関」が3つあります。

機関名 概要 詳細
株式会社シー・アイ・シー(CIC) 日本クレジット協会と㈱日本信用情報センター、(社)全国信販協会の3つを一本化した機関。クレジット発行会社(信販会社)、信用保証会社、ローン・リース会社、小売店、1部消費者金融、銀行、労働金庫、農林中央金庫など943社が加盟。 2017年11月時点で、7億813万件の信用情報を保有しており、成約状態である場合は原則月1回の情報更新が義務付けられているので、情報の精度が高い。申込情報、照会情報、異動情報以外の信用情報は開示されないようになっている。
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 全国銀行協会が運営する信用情報機関。主にアメックスジャパンなど、加盟する銀行系クレジットカード、銀行の住宅ローンなどの個人向け融資、中小企業系法人融資で代表者個人が連帯保証人として登録されるケースを中心に8000万件。 銀行系クレジットカード会社は規定により解明しているが、三井住友カード・JCB・クレディセゾン・UFJニコスなど、一部の大手カード会社は2009年に登録期間を脱退し、情報を抹消している。
日本信用情報機関(JICC) 貸金業者系の信用情報機関。HPでは消費者金融会社848社を含む1,436社(平成27年3月)情報の登録件数は約3億1,574件と発表している。 契約情報のうち、遅延情報・本人申告情報はCIC、KSCと交流している

この3社のいずれかで、異動(事故)・申告(申込)が発生した場合、一定期間CRIN情報としてサーバで共有されます。

※CRINとは、「Credit Infomation Network」の略です。

このCRIN情報を加盟会社が共有することによって、申込者の事故情報や申込件数を確認できるようになっています。

「A社」で延滞中の人が「B社」にカードローン申込をしてもB社は事故情報を確認し審査に通らない、となるのです。

当然、審査落ちした人は「A社の延滞をB社は知っているのかな?ブラックリストが存在するのかな?」と感じてしまいます。

ですが、実際はCRIN情報にサーバ共有されているということになります。

黒い名簿ではないにしろ異業種間で情報共有が進んでいるということは、ブラックリストが存在するに近い環境になっているようです。

いつの間にか登録されているあなたの信用情報

「クレジットカードもローンカードも作ったことがないし、自分には信用情報はないと思う」と安心していませんか?

実は、あなたが思っているよりも以前にあなたの信用情報は登録されているかもしれません。

一番身近なものに、「携帯電話の分割払い購入」があります。

人によっては「奨学金の返還」が最初かもしれません。

それがクレジットヒストリー(信用の歴史)の始まりです。

何気なく契約している書類の中に、個人信用情報機関への情報提供についての同意書が含まれており、割賦契約の場合あなたはそれに必ず同意しているはずです。

※携帯電話の分割購入は割賦販売法により、信用情報機関への情報提供が義務付けられています。

※奨学金返還者の場合、3ヶ月以上の延滞者のみが情報登録を受けます。

ただ、信用情報機関に信用情報が登録されることは怖いことでも危ないことでもありません。

あなたの「クレジットヒストリー」として契約内容や支払い状況等の客観的な取引事実を積み重ねていくことで、将来住宅を購入する時やローンを組む時など、審査の際に必要になる情報を提供してもらい、契約をスムーズにすすめることができるのです。

では、信用情報とは具体的にどこまでの情報が登録されるのでしょうか?

個人を特定するための情報
  • 氏名・生年月日
  • 自宅住所・自宅電話番号
  • 勤務先名と住所・電話番号
  • 運転免許証番号や運転経歴証明書番号等
個人の属性情報
  • 契約会社名・契約日・金額・携帯・返済回数等
  • 返済状況についての情報(残高・支払入金状況)
  • 割賦情報(CIC)年間支払見込額、支払状況
  • 金融情報(CIC・JICC)キャッシング残高等が、ほぼリアルタイムで送信・更新される
  • 金融事故に関わる情報。事故情報・異動情報など
加盟店による信用情報の使用履歴
  • 加盟店・金融機関名・日時・信用情報の使用目的が「申込情報」や「照会履歴」に一定期間登録される。
  • 契約中に利用状況や返済状況のチェックをする際は「途上与信」として登録され、延滞の未然防止などを目的としている
  • 各機関全て6ヶ月間情報を登録(平成22年6月より)
本人申告情報・その他情報
  • 運転免許証や健康保険証などを本人が紛失した場合、悪意のある第三者がそれらを利用して消費者金融に融資申込を行う恐れ場あるため、信用情報照会時に「本人確認書紛失」として情報共有できる
  • 過剰に借入をしてしまう等の理由で、本人が「与信 自粛」と申告することができる。
  • 事故発生等による取引打ち切りの情報、破産情報等

上のように、クレジットヒストリーは信用情報機関への情報提供に同意した時点から、支払いのたび・申込みのたびに着々と刻まれていくのです。

カードローン審査に落ちたら、まずやることは「信用情報開示」

自分のクレジットヒストリーがどんなものなのか?

カードローンの審査に落ちたら、まずそれを確認しましょう。

なぜなら信用情報に事故情報が載っているまま、色んなカードローン会社に申込んでも「申込情報」ばかりが増えていく一方だからです。

申込情報は6ヶ月間保持されます。

あなたの知り合いが短期間に何度も「お金を貸してほしい」と頼んできたら、きっとこう感じるはずです。

「この人、私以外の人にも頼んでそうだな。そうなると返してくれないかも」と・・・。

むやみやたらと審査が通るまで申込むよりも、どうして審査に落ちたのかを知る方が近道です。

過去に何かの支払いを延滞した経験はありませんか?

なぜ審査に落ちたのか心当たりがない時の近道・・・それこそが、あなた個人の「信用情報開示」という方法なのです。

信用情報報告書の見方

信用情報報告書

信用情報開示をして分かることは沢山あります。

まず、情報は種類によって保有期間があり、期間がすぎた情報は自動的に削除されます。
種類と期間は以下のとおりです。

種類 期間
クレジット情報 契約期間中、および契約終了から5年間
※契約が終了している場合、保有期限が開示されます
申込情報 クレジット会社等がアクセスした日から6ヶ月間
利用記録

返済状況という欄を確認すると、長期にわたる支払の遅れ(61日以上または3ヶ月以上)がある場合、「異動」と記載されており異動発生日が分かります。

他にも本人の代わりに保証会社が返済した場合の「保証契約」や、裁判所に破産を宣告(破産手続きが決定)した内容も記載されており、カードローン申込の際の審査の参考にされているのです。

たとえ、延滞を解消したとしてもその情報は保有期限がくるまで残るので、支払ったから情報が消えるということはないようです。

また長期にわたる支払いの遅れがなかったとしても、直近の入金状況なども審査の参考にされます。

下の表は信用情報報告書の1例です。

H28年 H27年
5月 4月 3月 2月 1月 12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月
状況 A A $ $ $ $ $ $ $ P $

状況の欄に記号が記載されています。(例は1年ほどですが、実際は24ヶ月分の入金状況が記載されます

記号が表す意味は以下のとおりです。

A
お客様の事情で、約束の日に入金がなかった。
$
請求通りの入金があった。
空欄
クレジット会社等からの情報更新がなかった。
P
請求額の一部が入金された。

他にも

R
お客様以外から入金があった。
B
お客様の事情とは無関係の理由で入金がなかった。
C
入金されていないが、その原因が分からない。

などがあります。

この場合、まだ異動情報が出ていなかったとしても審査をする会社は「最近延滞しているな」ということが分かるわけですね。

しかし、これはあくまでクレジットヒストリーを知る手段であって、ローン会社は信用情報を参考に審査しているだけなので、この内容だけで審査に落ちたのかどうかまでは、言及できません。

ネットでも簡単に情報開示報告書が入手できる

先に述べた指定信用情報機関3社の情報開示の手続き方法を下の表にまとめてみました。

CIC KSC JICC
インターネット開示 毎日8:00~21:45
クレジットカード決済(手数料:1,000円)
なし モバイル版のみ
24時間365日
クレジット・コンビニ・銀行振込(手数料:1,000円)
郵送開示 申込書・本人確認書類・手数料(1,000円)を郵送 郵送のみ
申込書・本人確認書類・手数料(1,000円)を郵送
申込書・本人確認書類・手数料(1000円)を郵送
窓口開示 平日10:00~12:00
13:00~16:00
現金500円
なし 平日10:00~16:00
本人確認書類と現金500円

信用情報開示申込書

信用情報開示申込書

申込書に記入する内容も、特に難しいものではないようです。

クレジット契約に関する情報開示は主にCIC、消費者金融等に関する情報開示はJICCに情報開示を求めるとよいでしょう。

学生時代にスマホを分割購入して、支払いを滞納し放置していた会社員の信用情報の回復

スマートフォンの普及とともに、知らず知らずのうちにクレジット契約をしている若者も増えてきているといいます。

携帯電話の割賦契約は「電話そのものの料金を分割して支払う契約」となっているため、その支払いが済んでいる場合は「携帯電話の使用料を延滞」しても信用情報には載りません(※但し、携帯電話の使用料金をクレジットカード決済にしている場合は記載されます)。

CICが毎月公表している「割賦販売情報統計概要」では、個別クレジット(携帯電話等の分割契約)の異動情報は、毎月200件前後となっています。

毎月200件前後ということは、年間2500件近くのクレジット契約で延滞等の金融事故があるということですね。

では、そのまま支払いを放置していた場合どうなるのか?

ある質問サイトに投稿された会社員の相談をご紹介します。

(24歳・男性会社員・T也さん)

21歳大学2回生の時に、自分の名義でスマートフォンを分割購入契約をしました。
バイトをしているので月々の支払いも大丈夫だと考えていたんです。
でも、すぐに毎月の支払いが遅れがちに・・・。やがて督促状がきましたが、期限内に支払うことができず強制解約となってしまいました。

その後、別の電話会社で契約をしようとしましたが断られたため、親名義で契約し何の不自由も感じることなく強制解約のことは遠い記憶に・・・。

就職し収入も安定してきたので、車を購入しようとローンを申込みました。が、審査に落ちてしまったのです。

どうして審査に落ちたのか分からず信用情報開示請求をしたところ、個別クレジットの異動情報があることが分かりました。

異動情報は5年間保持されるので、ローン契約できるまで後2年あると知りました。
2年は車のローンも住宅ローンも組めないのでしょうか?
ローンカードでキャッシングする方法も可能ですか?

このように、質問投稿サイトを見てみると同じような質問が本当に沢山存在します。

信用情報に「異動」が記載されてしまったら、様々なローンの審査通過は難しいでしょう。

しかし、信用情報だけ審査するのではありません。

「現在のあなたの支払い能力」を審査するのです。

では具体的にどのような対処をするとよいのか?

次の項でお教えしましょう!

信用情報に「異動」情報があっても、審査通過させたい場合

カードローン審査に必要なあなたの信用情報ですが、それだけを参考にして審査しているわけではありません。

先程のT也さんの場合、異動情報が更新された際の年齢が若く学生だったこと、そして今現在は会社員として安定した収入があること、というのも加味されるはずです。

そこで、どうすればよいのか?

過去の割賦残債(クレジット契約で延滞している債務)を完済し、その情報が更新された上で再度カードローンを申込んでみるとよいのです。

割賦残債を完済すると、異動情報は抹消されないものの補足内容として「解消」と記載され延滞解消日が更新されます。

実際は異動情報があるので、厳しい審査になるのは間違いないでしょう。

しかし、現在収入があることなどを考慮して審査に通ることも可能なのです。

ただし、延滞を解消してカードローンを申込んだのに審査に落ちた場合は、前にも言った通り続けて何社も申込んだりしないように気をつけましょう。

私が過去に消費者金融で与信(支払い能力の調査)をしていた時の基準でいくと、続けて2~3社ほど申込んでいる人は審査に通りにくかった記憶があります。

自分のクレヒスを信用情報開示で知って計画的に借入をしましょう 

自分のクレジットヒストリー(クレヒス)を知ることが、どれほど重要なのかお分かりいただけたかと思います。

カードローンを申込むことも、契約して支払いを滞りなく続けていくことも、将来高額なローンを組む際(例えば住宅購入など)の審査に必要なクレヒスを積み重ねていく1つの方法です。

30歳以上でクレヒスが存在しない人はスーパーホワイトと呼ばれ、審査材料が少ないため高額なローン審査に通らないとさえ言われています。

それほどクレヒス(信用情報)は大切なものなのです。

2015年ソフトバンクがCICなどの信用情報機関に対し、割賦で端末などを購入して支払い済みのはずのユーザーの情報を「未入金・滞納」として送信していたというニュースを発表しました。

しかも2009年~の4年間にも渡って、信用情報の誤登録があったということです。

こうしたニュースがある以上「なぜローン審査におちたのか?」全く心当たりがないという方にも、信用情報開示は非常におすすめです。

自分のクレヒスと知るということは、計画的な借入にもつながる強みになるでしょう!

松崎なおみ
松崎なおみ
奈良県生まれ。2005~2007年の貸金業法改定にゆれた消費者金融業界で働いていました。審査方法や信用情報など、業界でしか得ることができない知識をお届けしたいと考えています。「死ぬこと以外かすり傷」が座右の銘のアラフォーママです。